こんばんは。
今回は、なかなか読み終わらなかったんですが、
やっと読み終わったので、
「水曜の朝、午前三時」
の感想を書いておきます。
なるべく、ネタバレは避けながら、書いていきます。
「もしかしたら有り得たかもしれないもう一つの人生、そのことを考えなかった日は一日もありませんでした・・・」
という言葉が、文庫本の紹介文に書かれています。
この言葉が、この物語を圧縮しているような気が僕はしているんですよね。
この物語は、ある女性が娘に向けて自分の半生をテープに録音し、
そのテープを文字に起こしたような形式になっています。
この物語のテーマは、
「忘れられない人」
です。
どんな人におすすめかというと、
・忘れられない人がいる人
・人生の大きな決断をしようとしている人
におすすめです。
この物語のタイトルになっている「水曜の朝、午前三時」ですが、
もとになっている曲があるようです。
この曲を聴いてみると、
なんだか、この物語と似ている感じがして、
なんとなく、
タイトルがなぜ「水曜の朝、午前三時」なのか、
ということにも納得してしまいました。
この曲では、ある一人の女性が眠っていて、
その女性をそばで見ている男は、
そこから立ち去ろうとしています。
僕が考えてしまったのは、二つあって、
一つは、夜逃げ
もう一つは、夢から覚める
ということです。
眠っている女性が誰なのか、というのが問題で、
それが妻だったら、
・その妻のもとから去って、忘れられない誰かの元へ行く。
それが忘れられない誰かだったら、
・その忘れられない誰かと一緒にいる夢から覚めていく。
という感じなのではないかな、と思いました。
僕としては、忘れられない誰かと一緒にいる夢から覚めていく。のほうを採用しますw
この物語に登場する人物たちは、みな忘れられない人がいて、
「その人を忘れられない」という思いを抱えながらも、
どうにもならない現実を生きていました。
忘れられない人とともに生きることのできるもう一つの人生、
その人生がもしかしたらあったかもしれない、
そういうことを思わせるような小説だったなと思います。
人生は選択の連続であるとよく言われますよね。
その選択が正しいか、間違っているか、
後悔するか、後悔しないか、ということは、
後になってみないとわからないことでもあります。
大きな決断には、その後に後悔が付きまとうこともあるかもしれません。
その後悔ともうまく折り合いをつけながら、人は生きていくしかない、
そんなことも思ってしまいました。
でも、こうも思います。
人は、今この瞬間から、選択を変えることはできるのだと。
この瞬間から、後悔のない選択をしていくことはできるのだと。
だからこそ、他人任せにはしないで、自分で選択をして人生のかじ取りをしていくことが重要なのだと思います。
ただ、人生には、選択ができないことも往々にしてあります。
生まれる時代は選ぶことができないし、
生まれてくる国を選ぶこともできません。
また、親を選ぶことはできないし、
親の経済力を選ぶことはできません。
こんな感じで、生まれてくる環境は、
自分の意志でどうにかなる問題ではないですよね。
人生には、必ず自力でどうにかなる部分と、どうにもならない部分はあるものです。
そういう部分も、この作品では描かれているように思います。
この作品では、「僕」が最初と最後の語りをしているのですが、
その「僕」こそが、人生のどうにもならない部分を受け止めながらも、
うまく折り合いをつけながら生きているのだと思いました。
さきほどの曲のように、水曜の朝、午前三時には、忘れられない人に夢の中で会いに行き、また、現実に戻ってくる、そんな感じかなと思いました。
ただのラブストーリーではなく、人生についても考えさせられる物語だったので、
おすすめです!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
では!