2035年の人間の条件
を読んだので、感想を書いておく。
僕が1番共感できたのは、
原理を理解する喜びの部分。
やっぱり落合さんも暦本さんも学問を極めてきた人だから、原理的な理解を重要視していた。
原理的な理解をすることの喜びというのは、喜びの中でも特別で、
特別な感動がある。
その感動は映画を見て感じる感動とも違うし、絵を見て感じる感動とも違う。
おお!わかった!
という感動は、イメージ的には仏教の悟りと似ている。
そういう喜びは体験したことのある者にしかわかり得なくて、
だからこそ、AIが発達して、いろんなことがわかりやすくなって、いろんなことを勉強しなくてもよくなったとしても、残り続けるのだと思う。
わかりやすさの弊害というのもあって、
表面的にわかりやすくても、根本的な原理は間違いなくわかりにくい。
わかりにくいというのは、元々の人間の感覚とはズレていたり、地道に数学的素養を積み上げていかないと理解できないということで、
わかりにくいことを理解できて腑に落ちる感覚は、どんなにわかりやすく説明されても、わかりえないし、ちゃんと段階を踏んで手続きを経ないと得ることのできないものなのだ。
この本の中では、テクノロジーの裏側の数学みたいな表現がされていたけれど、AIの裏には線形代数や確率、統計が隠れている。機械学習は回帰分析の応用だから。
やっぱり大学で線形代数くらいまでは勉強しておかないと、もし原理を知りたいと思った時に勉強する術がない。
そういう意味では、大学までは勉強する価値はあり続けるのかもしれないなとも思った。
総じて、わかりにくい部分もあったし、難解な部分もあったけれど、知的ハイな面白い本だった!
オススメです。