本(書評、読書法、感想)

親の期待に応えられない後ろめたさ (村上春樹「猫を棄てる」を読んだ感想)

猫を棄てる 父親について語るとき (文春文庫) 作者:村上 春樹 文藝春秋 Amazon 親の期待に応えられないっていうのは、 子供にとってかなり大きな心の重しになるような気がする。 村上春樹氏の新刊が出たから読んだ。 エッセイなのだけれど、やはり文体は村上…

世界中の研究者によって開拓される「一歩」

研究者って、どんな感じなのか全くわかっていなかった。 おぼろげに研究者というものをイメージしていたけれど、 最近はっきりわかってきた。 研究者っていうのは、 どこまでも穏やかで、 どこまでも元気な人たちだ。 研究者っていうのは、 ひたすらにやりた…

志ありきで本を読め!

最近は、言志四録にハマっている。 言志四録(1) 言志録 (講談社学術文庫) 作者:佐藤 一斎,川上 正光 講談社 Amazon 『言志四録』(げんししろく)は、佐藤一斎が後半生の四十余年にわたって書いた語録。指導者のためのバイブルと呼ばれ、現代まで長く読み継…

昨今の教育についての疑問 なぜ人生において大切なことを考えさせないのか?

今回は、昨今の教育についての疑問について書いてみる。 池田晶子氏の14歳の君へという本を読んだ。 14歳の君へ―どう考えどう生きるか 14歳の君へ―どう考えどう生きるか 作者:池田 晶子 毎日新聞出版 Amazon 買うときに少し躊躇した。 いや、14歳ちゃうしな…

【書評】静かな人の戦略書

いい本を読んだので、共有しておく。 その本が、こちら 「静かな人」の戦略書: 騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法 作者:ジル・チャン ダイヤモンド社 Amazon 「あー。そういう本ね。 結局、HSPとか内向的な人を慰めているだけでしょ?」 …

最近話題の暗号通貨(暗号資産)用語についてまとめてみた!

最近話題の暗号通貨系の用語って 横文字がたくさんあって、 なんかよくわからない! と思っていたので、本を読んでみた。 お金の未来 (講談社現代新書) 作者:山本康正,ジェリー・チー 講談社 Amazon この本は、対話形式で、 とても読みやすく、 かつまとまっ…

【本の感想】人間(又吉直樹)

早く文庫化しないかなー。 と思っていた「人間」がついに文庫化されたので、 さっそく読んでみた。 結論から言えば、めっちゃ面白かった! めっちゃ面白かったのでおススメです。 単行本でさっさと読んでおけば良かったな…。ちょっと後悔した。 人間 (角川文…

【本の感想】20歳の自分に伝えたい 知的生活のすすめ(齋藤孝)

View this post on Instagram A post shared by 尾崎玲於奈 (@o_11111111re) 今日のインスタ、 ここでも紹介している本 「20歳の自分に伝えたい 知的生活のすすめ」 についての感想を書いていこうと思います! 本物の知的生活とは、学べば学ぶほど活力がみ…

アナキズムとは、他人任せにしないための思想。くらしにアナキズムは必要だと思う。

くらしのアナキズム 作者:松村 圭一郎 ミシマ社 Amazon 現代では、アナキズムというと「異端」、「狂った価値観」と考えられがち。 僕もこの本を読むまではそうであったし、 実際にそういう人は多いのだと思う。 でも、今こそアナキズム的価値観が大切なので…

幸せに他者は必要だろうか? 「わかりあえない他者と生きる」から考えたこと

だから幸せには他者が必要だと思うのです。そして他者に幸せの条件を提供することが私の責任です。私が他者を幸せにすることはできません。誰でも自分で自分を幸せにしなければなりません。しかし他者に幸せの条件を提供することはできます。この二つは別物…

世界は贈与でできている。 資本主義という岩の隙間に流れる川 それが贈与

贈与はすべて、「受け取ること」から始まります。 「自分はたまたま先に受け取ってしまった。だからこれを届けなければならない」 メッセンジャーはこの使命を帯びます。 だから「生きる意味」「仕事のやりがい」といった、金銭的な価値に還元できない一切の…

心理的な問題の解決策 言い訳せずに行動する

最近HSP関連の本や、回避性愛着障害についての本を読んだ。 回避性愛着障害~絆が稀薄な人たち~ (光文社新書) 作者:岡田 尊司 光文社 Amazon 過敏で傷つきやすい人たち (幻冬舎新書) 作者:岡田 尊司 幻冬舎 Amazon これらの本によると、 結局のところ、…

依存症に対抗する手段 ミニマリズム

橘玲氏の「裏道を行け」を読んだ。 裏道を行け ディストピア世界をHACKする (講談社現代新書) 作者:橘玲 講談社 Amazon 講談社現代新書とは思えないキャッチーな表紙。 二十代にとって関係あるのは恋愛の章と依存症の章だろうと思う。 僕はあんまり金融…

【本の感想】嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか

嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか (文春e-book) 作者:鈴木 忠平 文藝春秋 Amazon 僕の世代で落合を知っている人はどれくらいいるだろうか。 僕はちょうど野球少年だったころに落合が監督をしていた。 強い野球チームと言われると、真っ先に思い…

他者との関係性によって人格は変わるもの

僕は日頃から、本当の自分とはどんなものなのだろうという疑問を持っていた。 本当の自分。 今の自分は本当の自分ではないのかのように思ってしまうことがある。 僕は少しHSPな気質があるから、他人に合わせがちだ。 他人に合わせて、自分の本音を隠すことが…

なぜ、生きる目的を考えないのか?

いまの日本の社会システム、教育システムについてぼくが疑問に思うのは、教育は人格形成のための第一条件であるみたいなことを言いながら、若いときに自分の人生について考えることをしないし、学校の勉強ばかりをさせていること。 「自分の中に孤独を抱け」…

自分らしさとは、他者との関係性においてのみ存在する

他者と生きる リスク・病い・死をめぐる人類学 (集英社新書) 作者:磯野 真穂 集英社 Amazon 昨今、流行っている価値観とは、個人主義的人間観である。 個人主義的な人間観とは、 カンタンに言うと、自分は自分だよね。 自分は自分らしく生きるのが良いんだよ…

礼節は心の顕れ

礼節を磨くとなぜ人が集まるのか 作者:七條 千恵美 青春出版社 Amazon 礼節は心の表れである。とこの本に書いてある。 冒頭中の冒頭である。 こんな冒頭のことを書くと、 読んでないんじゃないの?笑 と思われるかもしれない。 その通り、まだ半分しか読んで…

2021年総集編 今年もありがとう!

今年も残すところあとわずか、 ということで、今年のブログも総決算。 決算とは違うけれど、総決算という響きが良いので、 そうさせていただこう。 ここでは、今年の中で最も大事そうな記事を紹介していく。 もしよかったら元記事も読んでみてほしい。 過去…

「12歳の少年が書いた量子力学の教科書」に感動した!

或る未知の学問領域に進入しようという時、その如何を問わず、最初に為すべきことは、その学問領域がどういうものかを知ることである。 12歳の少年が書いた 量子力学の教科書 作者:近藤龍一 ベレ出版 Amazon この一文で始まるこの本には感動した。 自分より…

人生には外れ籤なんて存在しない

「ミュージカルの名作って、人間は醜いから仕方ないよね、じゃなくて、そこから歌でも何でも歌いまくって力業でどうにかしてやろうって気概があるじゃないですか。人種差別とか独裁政治とか、そういうひどい環境に生まれた自分を悲観するのははじめの方だけ…

他者としての親子関係

子どもは変わるのである。小さいころ親を必要としていたようには、大きくなって親を必要とはしない。それが正常な成長なのである。小さいころの親と子の結びつきは弱さからの結びつきである。しかし、成長してからの結びつきは、強さからの結びつきに変化し…

利他が利己に変わる瞬間

利他的な行動には、本質的に、「これをしてあげたら相手にとって利になるだろう」という、「私の思い」が含まれています。 重要なのは、それが「私の思い」でしかないことです。 思いは思い込みです。そう願うことは自由ですが、相手が実際に同じように思っ…

どこに向かっても後ろめたさの残る人生

どこに向かって進んだって後ろめたさの残る歴史を歩み続ける以外に、この人生に選択肢はない。 朝井リョウ 著 「どうしても生きてる」流転より リアル、熱、切実さ、本音、嘘のなさ それを貫ける人生と、どこに向かっても後ろめたさの残る人生。 みな前者で…

現実は健康的な論理では動いていない

なんか、もう、いっか。 って思ったんだろうな。 わかるな、なんか。こういうことがあった辛くてたまらないもう死にたい死にたい死にたいって助走があるわけじゃなくて、ふと、なんか、別にもういっか、ってなる瞬間。 いきなり風が吹いたみたいに、わって。…

書くのを難しくしているのは自分自身

今、自分が知らないことは書けない。 今、自分の力量を超えた文章は書けない。 たったこれだけの事実を受容しただけで、急に肩の荷が下りた。 文章を書く際に最も大切なことは、気負わないことなのだ。 気負っているうちは、永遠に文章は書けないのだ。 千田…

あなたは「内なる声」に真剣に耳を傾けているか

アーノルド・ベネットの賢者の習慣―――賢く生きるとは自分の能力を最大限に発揮して生きることだ 作者:アーノルド・ベネット 三笠書房 Amazon あなたは「内なる声」に真剣に耳を傾けているか 本物の幸福は、単なる快楽からも、また、満足感と諦観からも得られ…

【書評】「自分の構造」が素晴らしかったので書評してみた!

自分の構造~逃げの心理と言いわけの論理 (だいわ文庫) 作者:加藤 諦三 大和書房 Amazon 逃げない自分をつくるために 人間のなかには自分の弱点を長所としてしまった人もいれば、 一生涯自分の弱点にとらわれて悩みつづけて自分の人生を台無しにした人もいる…

才能の原石は中学時代にある!? 自分の才能がわからないのなら、中学時代を振り返ってみよう!

中学のころに読んだ本というのは、 今でも非常に思い出深い。 なぜかしらないけれど、 ものすごく記憶に残っている。 例えば、「蘇我氏の正体」 という本を中学時代に読んだ。 蘇我氏の正体 (新潮文庫) 作者:裕二, 関 新潮社 Amazon この本は、蘇我氏という…

【書評】村田沙耶香さん「地球星人」 「宇宙の目」で眺めてみよう

地球星人(新潮文庫) 作者:村田沙耶香 新潮社 Amazon 「宇宙人の目」で世の中を見てみると、 なんとも滑稽なものだ。 世間一般で「常識」とされているものは、 「地球人の目」で見たもので、 ただの偏見だ。 それを共有しているだけ。 地球星人は、いろんな…